日本島嶼学会設立趣意書
日本の離島や世界の島嶼についての学会の設立は、多年に亘り、念願であった。
相対的に狭小な地域である島嶼が、諸活動において重要な役割を演じてきたことは周知のことである。しかし、現在はさらに島嶼に対する新たな意義付けも求められている。島嶼の持つ潜在的諸価値を見い出すためには、既存の枠組みを超えた、より総合的なアプローチが必要となっている。
島嶼はまさに独立、完結した空間であり、また外部との相互作用の空間でもある。その意味で、総合的アプローチを実践する上でも、格好の研究の舞台である。
国際的には、1994年沖縄で第1回の国際島嶼学会が開催された。同学会は「島嶼性、狭小性、隔絶島嶼性、依存性、資源管理と環境、島嶼生活の実態など」に関し、自由で学問的な討論の場を提供する非営利組織として設立されている。さらにユネスコの人間と生物圏(MAB:Man and Biosphere)計画には、「島嶼開発に関する国際科学評議会(International Scientific Council for Island Development:INSULA)が、国際機関、各国行政機関、科学者そして民間を結ぶ組織として設けられている。
このような動きを受けて、わが国においても、学際的・職際的・国際的な研究を通じ、総合的な学としての島嶼学が、真に求められている。
よって、ここに島嶼学の発展に資すことを目的とする日本島嶼学会を設立する。
設立発起人一同
秋道 智彌 阿比留 勝利 五十嵐 正博 池上 政弘 池宮城 秀正
石井 亨 伊藤 秀三 井上 武 岩切 成郎 上原 兼善
上原 方成 恵谷 洋 枝松 克巳 大島 襄二 大城 肇
大城 保 大谷 裕文 小柏 葉子 奥野 一生 小野 博司
嘉数 啓 金谷 啓紀 川勝 平太 河田 真智子 北川 泰三
栗原 尚子 鍬方 志郎 児玉 義幸 小濱 哲 小林 泉
佐藤 幸男 佐藤 快信 下地 玄栄 下野 敏見 謝花 勝一
杉本 尚次 鈴木 勇次 須山 聡 竹内 啓一 竹田 亘
竹川 大介 立松 和平 田中 清章 地井 昭夫 築島 富士夫
知念 政光 渡久地 健 戸崎 肇 友利 廣 鳥越 皓之
中島 成久 長嶋 俊介 仲地 宗俊 中俣 均 西川 芳昭
野崎 四郎 春名 徹 比嘉 政夫 福岡 孝純 外間 守善
真栄城 守定 前利 潔 牧 大二郎 松井 輝美 松園 真亀雄
松本 健一 三木 健 三戸 博成 皆村 武一 宮島 孝男
村武 精一 目崎 茂和 森本 孝 森 泰一郎 矢坂 良雄
山階 芳正 山上 博信 山岸 博 山崎 義人 山里 清
山本 和儀 吉岡 慎一 若林 良和 (以上83名)
1998年6月吉日