第11回日本島嶼学会賞選考結果について
日本島嶼学会賞選考委員会は,標記学会賞に推薦のありました応募者について,提出書類をもとに慎重に選考し,研究奨励賞部門1名,栄誉賞部門1名を授賞候補者として推薦いたしましたところ,下記のとおり授賞することが理事会(2024年8月30日)にて承認されました。
日本島嶼学会賞選考委員会
委員長 藤田 陽子
【研究奨励賞部門授賞者】
記
氏 名:松村悠子氏(大阪大学COデザインセンター・特任講師(常勤))
授賞理由: 授賞候補者は,島嶼における喫緊の課題であるエネルギー問題を継続的に研究し,その成果をもとに政策提案・社会実装にも意欲的に取り組む姿勢は実践志向型研究を重視する本学会として高く評価できる。学際的視点から研究することを心掛け,それを離島振興の枠組みから主題化したうえで政策提言や社会実装を試みるという島嶼研究者としての方向性が明確であることから,将来的に島嶼地域の発展に学術・実践の両面から貢献することが大いに期待できる。
本学会における活動については,現時点で『島嶼研究』掲載論文はないが,大会での研究発表を継続的かつ精力的に行っており,なお一層の発展の可能性を十分に有していると認められる。
以上の理由により,日本島嶼学会研究奨励賞を授与するに相応しいと判断した。
そのうえで,今後の研究の発展に向けた選考委員会からの指摘について記しておく。応募に際して「応募研究の内容をもっともよく表していると考える論文・発表要旨等」として提出された論文に関しては,現地調査の成果を丁寧にまとめているものの,学術的な理論や方法論の裏付けがやや不十分であることが指摘された。島嶼にとって重要な研究課題であるがゆえに,今後は学術的な質の向上にも取り組みながら,その成果を実践にも活かしていただきたい。また,島嶼研究を継続していくにあたり,学会誌『島嶼研究』への精力的な投稿を奨励したい。
【栄誉賞部門授賞者】
氏 名:長嶋俊介氏(鹿児島大学名誉教授)
授賞理由: 日本における島嶼学黎明期から現在に至るまでの長きにわたり,質・量ともに優れた多くの研究成果を世に送り出すとともに,島をありのままに捉える,従来のディシプリンにとどまらない包括的かつ総合的な分野としての「島嶼学」の確立に挑み続けてこられた。一方で,「島での」・「島の」・「島のための」活動を通して,学術と社会との協働を実践しながら島々の多種多様な問題の解決に尽力されてきた。
本学会においては発起人の一人としてその設立を実現し,2013年からは第5代会長を務められるなど,常に先頭に立って学会の発展を目指す活動を牽引してこられた。
学術研究および社会実践における比類なき実績と,島嶼学ならびに本学会への多大なる貢献を称え,日本島嶼学会栄誉賞を授与することとした。
【選考委員会委員】
委員長 藤田陽子(理事)
委 員 鳥居享司(副会長)
委 員 山本宗立(理事,『島嶼研究』編集委員長)
委 員 高橋美野梨(理事)
【選考経過】
2024年3月9日(土) 2023年度第4回理事会にて応募要領決定
2024年3月11日(月)学会HPにて応募要領公示(公募開始)
2024年3月25日(月)ニュースレターNo.75に応募要領掲載
2024年5月15日(日)応募書類提出期限
2024年5月16日(木)~30日(木)選考委員会による一次審査
2024年6月10日(月)選考委員会開催,理事会への授賞候補者の推薦決定
2024年6月24日(月)~7月3日(水)
理事会(メール回議)にて授賞候補者の予備審議を行い,選考結果の承認および授賞候補者内定
同日,授賞候補者に選考結果を内報
2024年8月30日(金) 理事会にて授賞者を正式決定
2024年8月31日(土) 熊本大会において授賞式
以上